40歳の女性。長年のアルコール摂取による肝硬変、膵炎および2次性糖尿病の合併症がある。飲酒を継続し家事ができなくなったことにより夫婦間の口論が多くなり、夫に連れられて精神科を受診し、入院となった。離脱症状が治まり、作業療法が開始された。
作業療法士の支援で適切なのはどれか。
1→文面から本症例は、慢性アルコール中毒によるアルコール依存と考えられる。SSTとは生活技能訓練(social skills training)であり、障害に関わらず全ての人に適応できるものとされているが、離脱症状が始まったばかりである本症例に、現時点で行う支援としては不適切である。
2→アルコール依存は、個人的な努力だけで断酒を続けることが難しいため、断酒会などの集団としての励まし合いが必要な部分もある。しかし、離脱症状が始まったばかりの本症例に、無理に他者との協調行動を促すことは優先されることではなく、不適切である。
3→アルコール依存患者に対しては、まず、環境調整とともに激励や、生活指導によって断酒に対する心構えを獲得させ、それを維持させることが大切である。患者に治療の意味を十分に理解させ、自らがそれまでの生活を改善しようとする意欲をもたせるようにする必要がある。そのため、本症例に酒害に関する心理教育を行うことは、現段階の支援として適切である。
4→一般的に精神疾患患者に対して、依存を容認することは不適切である。適度な距離感を保つことが大切である。
5→一般的に精神疾患患者に対して、頑張りを強化することは不適切である。治療者がプレッシャーをかけてしまうことはは、支援として好ましくない。