24歳の女性。大学卒業後に事務職として勤務していたが、汚物が付着していないかと気になり、頻繁に手を洗い何度も確認するようになった。確認行為により仕事に支障をきたすようになり退職した。家族は本人の確認行為に応じていた。精神科を受診したところ強迫性障害と診断され、外来での作業療法が処方された。作業療法士から家族へのアドバイスとして最も適切なのはどれか。
1→「常に本人を監視するように伝える」とアドバイスする必要はない。強迫性障害は、自分の意志に反する不合理な観念にとらわれ、それを打ち消すために不合理的な行動(脅迫行為)を繰り返す状態である。監視されているからといって、強迫行為を止めることにはできず、意識し助長する可能性が考えられる。
2→「本人の再就職を促すように伝える」とアドバイスする優先度が低い。本症例は外来での作業療法が処方された段階であり、強迫行為が見られている状態で、仕事に支障をきたすようになり退職しているため不適切。
3→「家の中の消毒を徹底するように伝える」必要はない。強迫性障害は、自分の意志に反する不合理な観念にとらわれ、それを打ち消すために不合理な行動(強迫行為)を繰り返す状態である。消毒したからといって、「汚物が付着していないか?」という強迫行為を止めることはできない。
4→「病気の原因を本人と話し合うように伝える」必要はない。強迫性障害は、自分の意志に反する不合理な観念にとらわれ、それを打ち消すために不合理な行動(強迫行為)を繰り返す状態である。話し合いで病気の原因(強迫観念)にとらわれず、強迫行為を止めることにはならない。
5→本人からの確認の要求に応じないように伝えることは、作業療法士から家族へのアドバイスで最も優先度が高い。強迫性障害は本人も不合理な行動だと自覚しているとおもわれる。そのため、強迫行為が始まれば、作業を中止させたり指摘したり、要求に応じる必要はない。なぜなら、「症状へのとらわれ」を助長させてしまうおそれがあるためである。強迫行為が始まってもなるべく早く作業に復帰するように促すのがよい。