58歳の男性。脊髄小脳変性症。脊髄小脳変性症の重症度分類(厚生省、1992)の下肢機能障害Ⅲ度、上肢機能障害Ⅱ度である。脱衣所と洗い場の段差はなく、浴槽は据え置き式で、高さは50cmであった。
住環境整備について誤っているのはどれか。
1→ベッド(A)を(A´)に移動する。ベッドとトイレの距離が近い方が望ましいため。
2→開き戸(B)は、そのまま外開き(脱衣所側に開く)で使用するか、引き戸に変更する。なぜなら、病気が進行し車椅子移動になった際に扉を閉めることができないため。また、浴室内で患者が倒れた際に脱衣所側から開けにくくなるため。
3→本症例は、歩行障害があり移動や浴槽の出入りが不安定であるため、浴槽内の(C)ではなく、(E)の位置に浴槽台を設置した方が良いかと思われるが、浴槽内の(C)の位置でも「誤っている」とはいえず、一方で、選択肢2は確実に「誤っている」ため、優先的に選択肢2が不適切である。
4→洗い場の壁(D)に横手すりを設置する。横手すりは、移動や座位安定に必要であり、浴室内の移動・浴槽や浴室内の出入りの際に機能する。
5→脊髄小脳変性症でバランスが不十分であると想定され、浴槽は高さが50cmと比較的高いため、浴槽への出入りは座って行えるよう、浴槽の(E)の位置にバスボードが必要である。