35歳の男性。飲酒後電車内で寝過ごし、右上腕部の圧迫によって橈骨神経麻痺となった。受傷4日後で橈骨神経領域の感覚低下があり、手関節背屈および手指伸展の自動運動は困難である。
この患者に対するアプローチで適切なのはどれか。2つ選べ。
1→アイシングの目的は、受傷部位に対し腫れや炎症を抑え、痛み軽減することである。神経麻痺にはアイシングの効果はないことから、アプローチとして不適切である。アイシングをしすぎることで神経麻痺を生じることがある。
2→本症例は橈骨神経麻痺であり、手関節背屈の自動運動が困難な状態である。抵抗運動を行うことは困難であり、アプローチとして不適切である。
3→Engen型把持装具とは、把持動作が不可能な場合、手関節掌屈・背屈動作を利用して、つまみ動作を行う装具である。本症例は、橈骨神経麻痺であり、手関節背屈の自動運動が困難な状態であることから、Engen型把持装具の使用をすすめることは、不適切である。
4→本症例は橈骨神経麻痺であり、手関節背屈および手指伸展の自動運動は困難な状態である。そのため、手指・手関節の他動伸展運動を行うことは、関節可動域維持の観点からアプローチとして適切である。
5→コックアップ・スプリントとは、撓骨神経麻痺患者などに手関節の固定・支持、変形予防、手関節を機能肢位に保持する目的で使用される。本症例に適応となり、コックアップ・スプリントの使用をすすめることは適切である。