45歳の男性。アルコール依存症。家で飲酒し酔って妻を怒鳴ってしまい、翌日に強い罪悪感を覚えることが増えている。反省して飲酒を減らそうとしたがうまくいかなかった。このままではいけないと思い、精神科を受診した。患者は妻の強い希望を受け入れて、しぶしぶ入院治療を受けることにした。治療プログラムの1つとして作業療法が処方された。初回の面接で、患者は、断酒しなければならないのはわかるが、コントロールして飲みたいという気持ちもあると述べた。
治療への動機付けの目的で、面接の中で取り上げるべき話題として最も適切なのはどれか。
1→ 妻との関係は、優先度は低い。なぜなら、妻との関係(家族関係の回復)は治療後期に主に行う項目であるため。妻との関係について、問題文では「家で飲酒し酔って妻を怒鳴ってしまい、翌日に強い罪悪感を覚える」とある。主問題(飲酒)とはっきりしているわけで、治療が軌道に乗った後に必要なら話題として取り上げることが望ましい。
2→作業療法の必要性は、患者に対して言う事ではなく、作業療法の指示を出す医師に言うべきである。
3→身体的問題を認識しても飲酒がやめられない状態がアルコール依存症であるため、飲酒による身体的な問題は、優先度は低い。導入期は、まず病気であること(病気の認識)が大切になる。アルコール依存症とは、少量の飲酒でも、自分の意志では止めることができず、連続飲酒状態になることである。常にアルコールに酔った状態でないとすまなくなり、飲み始めると自分の意志で止めることができない。
4→断酒について迷っている気持ち(断酒と適度の飲酒との葛藤)は、治療への動機付けの目的で、面接の中で取り上げるべき話題として最も適切である。本症例は、現在、初回の作業療法を開始したところであるため、導入期~解毒期にあたると考えられる。設問から「コントロールして飲みたい」との発言からも断酒と適度の飲酒との葛藤が感じられる。なぜまだ飲酒をしたいのか?飲酒の希望も聞くことで治療への動機付けにつながる。
5→ ストレス発散のための飲酒の必要性は優先度は低い。なぜなら、さらに飲酒欲求を増長する可能性があるため、適切ではない。