30歳の男性。統合失調症。3週間前に工場で働きはじめた。外来作業療法ではパソコン使用した認知リハビリテーションを継続している。ある時、同じ作業療法に参加する2人の患者から同時に用事を頼まれ、混乱した様子で相談に来た。
この患者の職場における行動で最もみられる可能性があるのはどれか。
1→統合失調症患者は、挨拶など他人とのコミュニケーションが不得意となる傾向はあるが、本症例が職場で最も見られる行動として、挨拶ができない可能性は低い。
2→心気的な訴えとは、心身の些細な不調にこだわり、自分が重篤な病気にかかっているのではないか、今後かかるのではないかと思い込んで訴えることである。本症例には、そのような心気的な訴えが多いという記載がないことから、可能性としては低い。
3→本症例は統合失調症の回復期後期っであると考えられる。体力がなく疲れやすい記載がなく、この時期に易疲労性がみられる可能性も低い。
4→すぐに仕事に飽きてしまう集中力の低下は、統合失調症の前駆期や急性期の症状としてみられやすい。本症例は回復期以降であり、この時期に集中力低下がみられる可能性は低い。
5→本症例は、3週間前に工場で働き始め、外来作業療法で認知リハビリテーションを継続しているとあることから、統合失調症の回復期後期と考えられる。問題文に「2人の患者から同時に用事を頼まれ、混乱した様子」とあり、統合失調症の行動特性として「同時並行ができない」状態であった。複数の指示を同時に言われた場合、優先順位をつけて行動することが困難であると考えられる。本症例の職場における行動で仕事の段取りがつけられないことが、最もみられる可能性が高い。